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今からでも遅くないから「コンビニ人間」を読め

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アメトークの読書芸人でもノミネートされていたこの本。第155回 芥川賞受賞 村田沙耶香 著 「コンビニ人間」を読んだ。システムという多数派が居て、その頭の中にあるモラルが「普通」なのだろう。

今の日本は「普通」に支配されている。マスメディアの報じる普通。会社の中で起こる普通。男女間の普通。その普通という言葉で定義されている。

正しいとされていることへの疑問がふつふつと湧いてくる。

社会的地位・・・・アルバイト
職歴・・・・コンビニ店員
恋愛・・・・恋愛経験なし
年齢・・・・適齢期を過ぎた中年

これらの状況を社会的底辺と定義し、これに当てはまる人に対して根拠のない憶測で責める。責めることのできる理由など存在しないはずなのだが、それをモラルという言葉をかざすことで正当化する。この理不尽で不条理な出来事を淡々と描いたのが、芥川賞作品 「コンビニ人間」なのだ。

しごとよりもゴシップのほうが優先

コンビニ店員にとって、いつも130円のからあげ棒が110円のセールになるということよりも、店員と元店員のゴシップのほうが優先されるなんてありえないことだ。

コンビニ人間より引用

人間関係のゴシップに夢中になり、業務を忘れておしゃべりに没頭してしまう。そんな場面を見たことがないだろうか?

するべきことよりも興味本位で行動している証拠だ。

少ない情報から連想・妄想をマインドマップ並に広げていくと時間がいくらあっても足りないみたいだ。そして、そこに意外な事実を提示されたとしても、勝手な解釈で自分を納得させた人間は、憶測を引っ込めることができない。

現実や現状と大きく乖離していても、信じないことで自分の憶測を正当化しようとする。

人間の判断は曖昧だ。感情を動かしたり、状況を認識するためのコントローラーが簡単に誤作動をおこし、間違ったことにも気が付かない。

何かを見下しているいる人は、特に目の形が面白くなる。

相手に対する、自分の目線はどのように設定していますか?

収入や社会の中でどのポジションを担っているのかで、人を自分より上にみたり下にみていませんか?あなたの目の形でそれが分かるかもしれません。

何かを見下しているいる人は、特に目の形が面白くなる。そこに、反論に対する怯えや警戒、もしくは、反発してくるなら受けてたってやるぞという好戦的な光が宿っている場合もあれば、無意識に見下しているときは、優越感の混ざった差別感情があるだけで、ごくシンプルな形をしていた。

コンビニ人間より引用

わかりやすい例として、正社員とパート・アルバイトはどっちが上とか下とか考えたことありますか?

普通に社内での担当業務・責任の重み付けに名称を設けたのが、正社員とパートだと私は考えています。でも、これって人間としてどっちが上とか下とかではないですよね?

もし、パートが社員に意見したり提案したらどうなのか?

業務というミッションをクリアするためにパートから出た提案に対して、生意気だとか、パートのくせにとかは言う人間がいますが、その内容よりも見下している者からの反発と勘違いしていませんか?

そんな時、目の形はどうなっているのだろう?

そこにミッションの達成という目的は存在せず、感情というコントローラー故障により、問題を大きくし、こじらせている。

異端児にはなにをしても良いという屁理屈

ムラのためにならない人間には、プライバシーなんてないんです。皆、いくらだって土足で踏み込んでくるんですよ。結婚して子供を産むか、狩りに行って金を稼いでくるか、どちらかの形でムラに貢献しない人間はね、異端児なんですよ。だからムラの奴等はいくらだって干渉してくる

コンビニ人間より引用

そして、わずかな情報を元に勝手な解釈をする。

これは絶対にあの2人はデキてるな!と、談笑している二人を見て、ありあまる想像力で言い切ってしまう人がいます。現状を把握しないまま、その先のシナリオも求められないのに、頭で三流のドラマを構成し、そう決めつけてしまう。お疲れ様です。

学生時代を過ぎて、異性の知り合いが少ない人。または異性で友達とかありえないと思っている人。こういう人が自分の常識にないことを正当化するために、根拠のない勝手な解釈を乱用する。

これも先ほどと同様に、感情を動かしたり、状況を認識するためのコントローラーが故障しています。

ムラのためにならない人間と会社のためにならない人間と似ている

会社のためにならない人間の定義って、会社の中で少数派だってことだったり、立場をわきまえてないと思われているってことだと私は考えています。

ある意味正直なんですよ。

会社でのポジションが偉い人と仕事をする時、目の前のミッションを達成するためにはどうしたら良い?となれば、その内容に対して懸命に考えることが求められます。

しかし、偉いというポジションに対しての気配りが最優先され、的外れで意味のないレクチャーに、愛想を振りまき感謝することが求められます。

相手が偉いかどうかより目的は何だ?

そこをストレートに上下関係とか主従関係なんて無いんじゃないの!?ってやってしまうと、会社のためにならない人間と識別され、普通を強要されるか、排除されてしまいます。

コンビニエンスストアの方があなたの会社の施策よりも優れた施策を試している

多くの人がコンビニエンスストアにお金を落としているのに、そのコンビニエンスストアで働く人を下に見ている。搾取されているのに自分の方が上だとか思えるって変じゃないですか?

あなたの会社は、値引きと物品のプレゼントでしか、自分の顧客を振り向かせることが出来ない会社かもしれない。営業担当者は、コンビニ店員より上なのでしょうか?

その日の状況に応じて売り場を調整し、キャンペーン商品を売るため知識を持っているコンビニ店員。値引きとプレゼントしか戦略にないあなたの会社。どちらの施策が優れていますか?

自社のサービスの抱き合わせを顧客に提案するが、顧客の事業に貢献しているかどうかを測定することは行わない。顧客満足度よりも自社利益を追求する会社。コンビニエンスストアのを下にみる理由がわかりません。

この本を読んで、身の回りで起こっていた日常風景がとても異常だったり、歪(いびつ)だったりしたことがはっきりしました。なんてタイムリーな本なんだろうとも。日本全土が本の中で描かれているような空気感に包まれている気がしてならない。このままでいいのかな日本?