2018年11月25日に放送された「関ジャム 完全燃SHOW」において、ミュージシャン 西野カナさんが公開した「作詞方法」が話題になっている。過去に出演した2015年5月10日の放送でも「作詞方法」について紹介しており、知っている人は何を今さらと思っているだろう。(2016年にNHKのSONGSに出演した際にも作詞について話しています)
2018年11月25日放送された「関ジャム 完全燃SHOW」のテーマは、「共感ソング15選にアナタを歌った曲があるかも?」だったことから、再び西野さんの「作詞方法」に注目が集まった。
女性から圧倒的な共感を集めている西野カナさんに対して、番組終了後、ネガティブに報じるネットメディアが現れた。西野さんの「作詞方法」に対して「売れればいいのか」と的外れなタイトルをつけるなど賛否両論を煽ったのだ。他人の「作詞方法」にケチをつける前に、「炎上PV狙い手法」を見直すべきだと思う。
心無いネガティブな記事にのっかる形でツイッター上で悪口をいう人を目撃したが、意外にも世の中の反応は冷静であった。現在、グーグルで「西野カナ 作詞方法」と検索すると好意的な内容が上位を占め、ネガティブに報じたメディアよりも好意的な記事が上位を占めていることに、ネット全体で見ればそんなおバカな人ばかりでもないんだと胸をなでおろした。
ここまで書いておいて言うのもなんだが、特に西野カナさんのファンではありません。今回は、関ジャム 完全燃SHOWで紹介された、西野カナさんの「作詞方法」を観て、「この人!意外とスゴいかもしれない」と思ったもので紹介せずにいられなくなりました。
西野カナの作詞は”企画書作り”から始まる
西野さんが作る企画書の内容はこちらです。
- 曲の方向性・コンセプト決め
- 登場人物の設定作り
- 友人&スタッフにアンケート調査
曲の方向性・コンセプト決め
作曲された曲を聴いてみてどういうテーマにするのか決めたり、実体験や友達の経験から曲の方向性・コンセプトひっぱってくる。「きっかけは友人の失恋」など。
登場人物の設定作り
テーマから年齢層を設定します。登場人物の性格によって台詞や恋愛観が変わってきます。この段階で一旦、詞を書き出す。
友人&スタッフにアンケート調査・取材
共感性を意識して添削。
西野さんが作成したアンケート内容
わたしのトリセツ(取扱説明書)
商品名(お名前):
- 仕様(特徴やクセ)<例>マイペース、寂しがり屋、ポジティブ、すぐ寝る・・・
- 用途(こんな事ができます、こんな時に役に立ちます。)<例>聞き上手、細かい作業が得意・・・
- 上手なご利用方法(こんなことをすると長持ちします。)<例>ほめて伸ばす、甘い物をあたえると機嫌が良くなる・・・
- 取り扱い上の注意(こんな事言うと、されると機嫌が悪くなります、落ち込みます)<例>放置しすぎる、他の異性と出かける・・・
アンケートには西野さん本人も同じ条件で書いて答える。自分のも使いつつ統計をとる。甘い物をあたえると機嫌が良くなる・・・は多数だったが、歌にならないので取り入れなかった。
自身が考えた「曲の方向性・コンセプト・登場人物の設定」からアンケートを作成。「こういう恋愛をしたことがありますか」など統計をとる。それにより、共感性がどれだけあるのかリサーチしている。
誰かの暮らしのBGMになる
ここまで、西野さんの「作詞方法」を書いてきて確認できたのが、「作詞」以前に物語をつくり、その物語のセリフとして「詞」がつくられる。自分の考えたコンセプトや登場人物に対して、そういうシチュエーションで主人公がどんな思考をするのか違和感なく設定できるようにアンケートや取材をしている。
西野さんは作詞の参考アイテムとして映画をよく観る
- 特にラブコメディ
- 夏にクリスマスソングを作詞する場合は「クリスマス映画」
わたしはこれを見て、作詞のアイテムというよりもコンセプトや登場人物のヒントにもなっているのではと思いました。
きっかけは友人の失恋だった「Believe」
Believeの企画書
- アイツ見返してやるソング 男心って本当に分からない
- 彼の方から告白してきた そこまでタイプじゃなかったけど優しかった、
- ずっと大事にしてくれるものだと思ったから付き合っていたのに、いきなり別れようと言われた
- しかも人伝いに聞いた話じゃ、別れてすぐに彼女がいて、しかも美人!
- マジであり得ない あんなに好きだと言ったのに何で?
- 男心って本当に分からない 女心よりも秋の空
この企画書が実際の歌詞でどうなったのか?
アイツの最新情報
No Way! Who is this pretty girl?
まさか彼女かなあれからそんなに
時間も経ってないはずなのに
マジでありえないな男心
最初の企画書から曲にマッチした歌詞を作り上げる。これには才能が必要なのは間違いない。「作詞方法」はプロセスであり、「歌詞」を作り上げた作詞家に向かって「作詞方法」まで指南することは異常だと思います。西野カナさんには、そんな雑音は無視して「誰かの暮らしのBGM」を作り続けてほしいですね。